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高度一万メートルのリスク

飛行機内客室へのペット持ち込み可否について
なかなか議論が喧しいことになっています。
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機内に動物アレルギーを持つ方が同乗していた場合は?
ペットが騒いだら?排泄したら?
緊急時に乗客が脱出する際の妨げになったら?
・・・等々、ざっと見渡すだけで数々問題点が羅列できます。
しかし、以上に述べたのは「人間」の側にもたらされる問題ばかり。
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それらのことはちょっと脇に置いておいて・・・
「動物」の側から考えてみましょうか。
高度一万メートルの環境に置かれる動物の体内で、
実際にどのような変化が起きるのかを見てみましょう。
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地上での気圧を1気圧とした場合、
高度一万メートルにおける気圧は0.2気圧。
飛行機内では0.8気圧が維持されています。
これは富士山の5合目と同程度の気圧です。
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この気圧の変化に比例して、
1気圧で150 Torr程度だった動脈血酸素分圧は118 Torrへ低下し、
同時に肺胞気酸素分圧も下がることでHb飽和度も99%から90%へ低下します.
※1mmHg=1Torr、すなわち水銀柱1mm分の圧力が1Torr です。
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つまり正常人でも酸素飽和度は90%程度に下がるのですが、
身体が代償(心拍数・心拍出量などの増加)することで
機内では何事もなく過ごすことができます。
しかし何らかの基礎疾患がある場合は
体内に取り込まれる酸素の量が減り、それに対し十分な代償が起こらないと、
地上では異常なく生活していた場合も何某かの症状が発現します。
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それ以外にも、気圧が下がることで体内のガスが膨張し、
膨張したガスが諸臓器を圧迫することで痛みを生じることもあるでしょう。
鼓膜の奥にある中耳の空気が膨張・収縮しようとすることで中耳炎を生じることも。
人間は「耳抜き」できますね?
では犬猫はどうでしょうか?
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胃腸の中の空気が膨張したらお腹が張ったり、腹痛を引き起こしたり
また機内は乾燥しているため(湿度20パーセント程度)
のどが渇く、鼻や喉の粘膜が乾燥する、眼が痛いといった症状もでてきます
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人間は苦痛を訴えることができます。
それに応じた処置をしてもらえます。
では言葉を持たぬ動物はどうでしょう。
具合が悪くてひたすらうずくまっているのを、
「大人しくていい子だね」なんて見過ごされるかもしれません。
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高度一万メートルの機内に於いては、
斯様にわれわれの想像以上に身体には負担がかかっているのです。
そのことをどうか頭の片隅にでも留めておいて欲しいのです。


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by monchuchu0116 | 2024-01-08 12:00 | 日常