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最期の日のこと④

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病院から戻る車の中、画伯ちゃんは運転席。
わたしは後部座席でゆきを簡易酸素ボックスに入れて
更に彼女の口もとに酸素マスクを翳していました。
ゆきは鬱陶しそうにマスクを払い除ける仕草を見せ、
そんな元気を取り戻したのかとわたしは喜びました。

家に帰り着いたのは午後4時半過ぎ。
予め準備をしていた酸素ボックスにゆきを移し、
わたしの部屋には母と画伯ちゃんもやって来て、
みんなでゆきを労い励ましました。
ゆきは酸素ボックスの中でお座りをし、
母と画伯ちゃんの顔を順繰りに見つめました。

その時のゆきの顔つきはしっかりとして、
その所為で皆は糠喜びをしました。
母と画伯ちゃんは暫し後に自室へと引き上げました。
部屋にはゆきとわたしだけ。

ネブライザーの準備をしようかと思い立った時。
不意にゆきが身体を丸めました。
ちょうど疲れてひと眠りをする時のように。
そしてわたしは理解しました。
ゆきは旅立とうとしているのだと。

すぐさま母と画伯ちゃんを呼び戻し、
わたしはゆきを酸素ボックスから出して抱き上げて、
心臓マッサージと人口呼吸を開始しました。
しかし午前とは異なりゆきの反応は芳しくなく、
傍らでは母と画伯ちゃんが静かに泣いていました。

何度か処置を繰り返し、
それでもゆきの身体はぐにゃぐにゃのまま。
わたしは処置を止める決意をしました。
「頑張ったね、おちびちゃん」
「もう疲れたね。ちょっとおやすみしようね」
喪失感より哀しさより、感謝の気持ちが大きかった。
「いままで、ありがとう」

もしかしたら。
午前に呼吸停止した時に、ゆきは旅立つ筈だったのでしょう。
わたしが無理を言って彼女を引き留めてしまったのか、
或いは神様からのボーナスステージか。
兎に角、もう彼女に無理を強いることは出来ませんでした。

腕の中で彼女は眠りに就き、
その顔は本当に穏やかそのものでした。
まるで微笑んでいるようでした。

わたしの可愛いおちびちゃんは、
大好きな家で
大好きな皆が揃った時に
わたしに抱かれたまま息を引き取りました。
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わたしは全力で彼女を愛し
彼女はそれに応えてくれました。
生涯決して忘れることのない、
幸せな記憶を残してくれました。

大好きだよ、おちびちゃん。
今までも、これからも。


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Commented at 2019-08-27 06:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ノエルママ at 2019-08-27 07:45 x
 ゆきちゃんの最期のこと、最初は読み切れ
ないかもしれないと思いました。
でも、読みました。今日は何度も。

 不思議ですよね。生き物は自分の運命を
コントロールできないはずなのに。
(私は、そう思っています)
でも、ゆきちゃんは、お別れの時間を作って、
この世を旅立った。
おそらく、もんちゅちゅ様が感じたように、
傍らにはムク君が、ずっと付き添っていた
のでしょう。

 ゆきちゃん、改めて私からも
ありがとう。
あなたから多くのこと学びました。
幸せも、たくさんたくさん貰いました。
あなたと一緒に過ごしたひと時を、私たち、
一生忘れない。
 ゆきちゃん、お疲れさま。
ムク君と一緒に、もんちゅちゅママ、
画伯お姉ちゃま、大ママ様を見守って
あげてね。

 ゆきちゃんの姿形は変われど、
記憶と記録があるから。
 もんちゅちゅ様、ブログを開設して
くださって、ありがとうございます。
『徒然てんぐさ』が存在しなかったら、
ゆきちゃんの存在を知ることさえなかった。
数年間のゆきちゃんの日々の様子、
いつでも見ることができる。
だから、ゆきちゃんは私たちの中で、
ずっと生き続ける。
Commented by 風太 at 2019-08-27 08:29 x
そうでしたか...
ゆきちゃんは、大好きなもんちゅちゅさんの腕の中で
ご家族に最後の挨拶をして虹の橋を渡ったのですね。
ウチもそうですが不思議と、「今までありがとうね」
という言葉しか出ませんでした。
その後もずっとミミは、妻の腕の中で眠っている。
そんな感じを思い出してしまい、冷たい私が涙を
知った瞬間でした。
お辛いでしょうが、記録頂き有難う御座いました。
Commented by チャチャママ at 2019-08-27 08:34 x
ゆきちゃん、おうちでもんちゅちゅさんの腕の中で永遠の眠りに就いたんですね
大好きなおうちで大好きなもんちゅちゅさんに抱かれて穏やかに
頑張りましたね ゆきちゃん

ここ数日間の、もんちゅちゅさんのお話は涙で文字が見えなくなる程でした
きっとゆきちゃんは穏やかに天国へいったんだと感じました

現実って時に厳しいです
でも哀しみを乗り越えていかなくてはいけないんですよね

チャチャの妹キティーもチャチャも、おうちで私の腕の中で穏やかに天国へ旅立ちました
私はその時は涙は出ず名前を叫んでました
あとからあとから一人になってから泣けて泣けて・・・
泣きたい時は泣いてもいいんです

みんな、みんな幸せだったと思います
ゆきちゃんも今はムクくんと一緒に走っているのでしょうね

ノエルママさんが、ゆきちゃんのブログを読み返していると仰っていました
私も以前なんどか最初のゆきちゃんを拝見しましたが、また今読んでいます
泣けるけれど、ほっこり笑えたり・・・
改めて、もんちゅちゅさんの文章力に感心して、引き込まれるように何時間も読みふけっています
もんちゅちゅさんの空よりも高く、海よりも深い、ゆきちやんへの愛情がひしひしと伝わり改めて、ふたりの愛を感じずにはいられません

本当に、ゆきちゃんには感謝しかありません
幸せな気持ちをありがとう
Commented at 2019-08-27 10:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2019-08-27 21:06 x
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Commented by えちゅママ at 2019-08-27 21:07 x
ゆきちゃんのご冥福、心よりお祈りいたします。

最後の瞬間まで、互いが互いを愛し抜いたこと、本当に幸せで貴い時間でしたね。
我が家も2月に上の子を見送りました。
犬も猫も、もう何度目かの別れでしたが、悔いが残ることは決してないよう
精一杯の毎日でした。
今頃はムクちゃんや、うちの子たちとも一緒に走り回っているかな?
ブラックタンなので見つけやすいかも。きっと仲良くなれると思います。
いまは辛い時期ですね。そばにいる子たちのために、そして自分の体に、心に、
無理のないようお過ごしください。
ゆきちゃん、いままで、可愛い姿を沢山見せてくれてありがとう!おやすみなさい。
Commented at 2019-08-28 12:00 x
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by monchuchu0116 | 2019-08-27 00:20 | その他 | Comments(8)