今だから言えること

ゆきの調子は小康状態です。悪くなってはいないので、ひと安心。でも、セカンドの病院を受診した時は。ゆきの具合はとても悪くて、ゆきはこのままムクのところに行ってしまうのではないかと、わたしはただひたすらに恐れていました。助手席の画伯の膝の上で身体を横たえることも出来ぬまま荒い息を繰り返すゆきを撫でて死なせてたまるか。今ここで死なせるわけにはいかない。ムク、もしもゆきがキミのところに来たら。お願い、全力で追い返して。そんなに慌てちゃダメだと言ってやって。ムクの遺骨が入った胸元のペンダントを握りわたしは彼に願いを託しました。ほんの10日ほど前のことでした。
ゆきは精一杯の頑張りを見せ、ムクは願いを叶えてくれました。

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