神さまと取引

今となっては単なるわたしの思い込み、
それこそ鼻で笑ってしまうような着想でしかないのだけれど。

何となく
ゆきは白内障にはならないんじゃないかと思っていました。

脚にも心臓にも気管にも不具合を抱え
色んな楽しみを制限されている彼女だから、

彼女の瞳だけは
この黒曜石のような双眸だけは
神さまが見逃してくださるんじゃないかと。

現実はそう甘くないと思い知り
この数日は散々に打ちのめされました。

ならば神さま、取引をしましょう。
彼女はあまりにたくさんのものを失ってきました。
これ以上、彼女から何も奪わないでいただけますか。


起きてしまったことにグズグズ言うのはこれで最後にします。
でも、これだけは言っておきたくて。


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